「うちの子、どうやったら頭のいい子に育てられるんだろう・・・」 この記事を読んでいるみなさんなら、そんな風に考えたことがあるかと思います。知育おもちゃを山ほど買ったり幼児教室に通わせているけれど本当にこのままでいいの、と悩んだりしていませんか?
もしそんな風にお悩みなら、モンテッソーリ教育を取り入れてみてはどうでしょうか?
モンテッソーリ教育はいま注目されている教育法です。
うちにもモンテッソーリの幼稚園に通う子供がいますが、うまく実践すれば子供を内側から幸せにしてあげられる教育だなあとつくづく感じます。
小手先のテクニックだけの教育法とは一線を画しているんですね。
幸せな子供は誰に言われなくても自らどんどん学び始めます。
好きでやっているからぐんぐん成長します。
私が子育てで大切にしたいのは、子供が自ら考えて行動するということです。
どうしたらそんな子育てができるのかと試行錯誤しているときに出会ったのが、このモンテッソーリ教育でした。
同じように子育てで悩むママパパ向けにこの記事は書いています。
モンテッソーリ教育って何?という方にとって参考になれば嬉しいです。
もくじ
子供の気持ちを理解し欲求を満たしてあげることからはじめよう
子供の幸せを願っていたつもりだったけど、実は親の願望を押し付けていただけだった、というのはありがちな話ですね。
子供の気持ちこそ子育てでは大切だということ、わかっていてもつい忘れがちです。
子供は産まれたときから、自立したいという欲求を持っています。
ハイハイも、つかまり立ちも、箸を使うのも、親に頼らず一人の自立した人間として生きたいという欲求が心の中にあるから、何度失敗してもチャレンジします。
子供のこの強い欲求を親が理解して満たせるかどうかがその子の将来に大きく影響すると言われたら、みなさんどう思いますか?
従来型の一斉教育では子供の欲求を満たすのは難しい
まずはじめに、従来型の一斉教育が抱える問題について考えてみましょう。
一斉教育の園では、学年ごとのクラスに分かれて、先生の指導のもと全員でひとつの活動をするのが普通です。
お絵描き、歌や楽器、体操など、事前に計画された内容と時間配分に従って物事が進行します。
私を含めて、この記事を読んでいる皆さんのほとんどは、この一斉教育を受けて育ってきたと思います。
だからこの仕組みに何の違和感も感じないですよね?
ではなぜ、この従来型の一斉教育では「子供の欲求を満たすのが難しい」のでしょうか?
同じ学年でも発達には開きがある
同じ学年といっても4月生まれと翌年3月生まれの子では発達に大きな開きがあります。
同じことをさせても、4月5月生まれの子にとっては簡単すぎてつまらない、でも3月生まれの子には難しすぎるというジレンマがつきまといます。
アメリカのメジャーリーガーやNBAバスケットボール選手の多くが、9月10月生まれだという研究をご存知でしょうか?(アメリカは9月が学年の始まりなので日本の4月生まれに相当します)
子供のスポーツは学年別に競いますが、これは発達が進んでいる4月5月生まれの子に有利です。
月齢による発達の差が、その子が持つ能力の差だと誤って認識されてしまう。
その結果「優秀」な子は選抜され、やがてはプロになるという傾向があるのです。
(最近は生まれ月を区切ってセレクションするなど改善されつつあるようで、いいことですね)
園や小学校でも知らず知らず同じことが起きているのではないかと思います。
ちなみにこの研究について詳しく知りたいという方はこちらからどうぞ。
子供がやりたいことはそれぞれ異なる
子供の性格がそれぞれ違うように、子供の発達の順序も一人ひとり違います。
同じ月齢の子を集めても、おしゃべりが上手な子、手先が器用な子、体を動かすのが好きな子、といろいろです。
子供の発達はその子が何に興味を持ってやってきたかも影響しています。
そして、何に興味を持つかは、その子が置かれていた環境に影響されます。
部屋に本がたくさんあれば、文字に興味を持つかもしれません。
近所に公園があれば、砂遊びを通じて指先が器用になるかもしれません。
また、一度何かに興味を持つと、子供は徹底的にそれに向かい合います。
ずっとハサミで紙を切っている子、コーヒーの豆挽きばかりやり続けている子、虫集めに夢中の子。
とにかく延々とやり続けます。
その「しつこさ」に大人は困惑するばかり。
今、何をやりたい(=能力を発達させたい)と思うかは、子供一人ひとりで異なるし、それをどれだけやりたいかは、大人が考える常識の枠にはとても収まりません。
だから、クラスごとに決められたカリキュラムに沿って皆で同じ活動をするだけの従来型の一斉教育では、その子の「これがもっとやりたいんだ!」という欲求を満たしてあげることが難しいのです。
「全員一緒に」を強要しないモンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育には、全員が一緒になってやらないといけないカリキュラムがありません。
また、他の園と同じようにクラス(学年をまたいだ縦割りにしている)もありますが、根底にはそれぞれの子供は皆違うという考えがあり、大人が決めた何かを一方的に教え込むということは原則ありません。
子供一人ひとりのニーズに応えられる環境が整っている
モンテッソーリ園の教室には、子供たちの発達に必要な教具や道具が用意され、棚に整然と並べられています。
子供たちは自分の興味・関心のあることにふさわしい、つまり、発達にぴったりな道具を選び、思い思いに活動します。
大人が決めた一方的な「教育」に縛られることなくのびのびと学ぶ自由が、子供たちに与えられているんですね。
こう書くとまるで自分さえよければOKの学校、というふうに勘違いされるかもしれませんが、大丈夫です、モンテッソーリ教育では集団での活動や教育も大切にしています。
活動を友達と一緒に行うこともしょっちゅうですし、先生と一緒に歌ったり絵本を読む時間もあります。共同作業や集団行動の中でしか身に付かない、対人関係、協調性といった力も、しっかり学べます 。
欲求が満たされると子供の目が輝く
衣食足りて礼節を知るということわざがあります。
まず、自分が生きるために必要なことが揃っていること、そうしてはじめて、他者への思いやりを持つことができるわけですが、モンテッソーリ教育にも同様の考えがあります。
子供自身がやりたいと思っている活動に思う存分に取り組むことができたとき、子供は充実感を得ます。
そうして自分の欲求を満たすと、その後は他者や周囲に関心を向けることができます。
これは私自身がそういう性格なので、本当によくわかります。
日常の「仕事」に追われ、本当に自分がやりたいことを進められなかったときは、気持ちがとげとげして家族にも辛くあたってしまう(涙)
でも、一日のうち少しでもやりたいことをやれると気持ちが落ち着きます。
子供も同じなんだということはよく理解できるんです。
これは本の読みかじりですが、欲求が満たされた子供は、集団の中で一斉教育を受けてもしっかりと先生の話に耳を傾けられるんだそうです。
性格も素直で明るくなり、周囲と調和がとれ問題行動が少なくなる。
モンテッソーリ教育の、子供たち一人ひとりの欲求を大切にするこうした考え方は、子供にとっても親にとってもまさにいいことづくめなんだと思います。
他の早期教育とモンテッソーリ教育の違い
幼児教育、早期教育と呼ばれるものは数多くあります。
我が家でもいろいろと試しました。
さすがに全部をやりきったわけではないので、憶測が含まれていることをお断りしたうえで言えば、他の早期教育は、親や講師など大人が働きかけ、子供をひっぱったり持ち上げたりしている印象、もっとはっきりいえば外部からの力で「無理やり能力を伸ばそう」としているように見えました。
一方モンテッソーリ教育は、子供にもともと備わっている力に着目し、内側から働きかけることで、子供が「自ら能力を伸ばす」ことを大切にしている、そういうふうに僕は理解しています。
ところで、そもそも厳密に言えば、モンテッソーリ教育を「早期教育」「幼児教育」と呼ぶのは間違いです。
モンテッソーリ教育では乳幼児期をとても重要な期間として捉えていますが、実際には24歳までを一区切りとして考えています。
欧米では、小中高にもモンテッソーリ教育を取り入れた学校があります。
日本では幼稚園・保育園が中心なので、幼児教育として認識されているのかもしれませんね。
スキル習得に時間をかけすぎるのはもったいない
子供の将来を考えた時、いったい何を学ばせ身につけさせるのが良いのでしょうか?
グローバル化の波に備えて、流暢な英語を話すことでしょうか。
それともプログラミングやITでしょうか?
これは難しい問題です。せっかく英語が話せるようになっても、まったく英語が必要無い仕事をしているかもしれません。
プログラミングをマスターしたところで、将来は人の代わりに人工知能がプログラミングしているかもしれません。
残念ながら答えはわからないのです。
もちろん、学ぶことにはいろいろな価値があるので、英語やプログラミング教育を否定はしません(むしろいつも子供と一緒にやりたいと思っていますし、英語教育を取り入れているモンテッソーリ園もあります)。
ですが、0歳から6歳までの貴重な期間にわざわざ多くの時間を割いて学ぶだけの価値があるのかというと、私は疑問に思います。
幼児期には、何かを覚えたりできるようになることよりももっと大切なことがあります。
それを学べるのがモンテッソーリ教育だと思います。
何にでも対応できる「学びの土台」を築くのがモンテッソーリ教育
学びには、字が読める、計算ができるといった表面的でわかりやすいものと、主体性や集中力、困難を乗り越えようとする力のように、内側から全体を支えている土台とでも呼べるものがあります。
この土台を作ることが幼児期の教育では何より重要です。
どっしりした土台があれば、どんな将来が待っていても、子供は対応することができるでしょう。
逆に、土台が貧弱では大したものは築けません。
これは車で言えばエンジンでしょうか。
いくらボディがぴかぴかで素敵な色をしていても、エンジンが悪ければどこにも行けません。
幼児期に良いエンジンを手に入れた子供は、どんどん自分の力で進み、親の期待を越えて遥か遠くまで行けるはずです。
自己肯定感、主体性、やる気、自信、集中力、挑戦する気持ち。
こういった学びの土台は、子供一人ひとりが自分の興味関心にしたがって思う存分に活動する中で築かれていきます。
何かに主体的に取り組み、深く集中し、成し遂げた経験を持つ子供は、勉強でもスポーツでもビジネスでも、対象が何であっても、同じように集中して成し遂げることができるのです。
佐々木信一郎さんの著作「子供の潜在能力を101%引き出すモンテッソーリ教育」では、この土台のことを、こう例えています。
これは、子供がこれから人生を生きていくなかで、魔法のじゅうたん、魔法のランプに匹敵するほど価値あるものだと思います。
魔法のじゅうたん!本当にぴったりの表現だと思います。
モンテッソーリ教育が育む、未来を切り開く力
世界で活躍するモンテッソーリ出身の著名人たち
もし、次の人物リストを突然見せられたとして、皆さんは何か共通点を見つけられるでしょうか?
- アマゾン創業者 ジェフ・ベゾス
- グーグル創業者 ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン
- フェイスブック創業者 マーク・ザッカーバーグ
- ウィキペディア創設者 ジミー・ウェールズ
- アメリカ大統領 バラク・オバマ
- アメリカ元大統領 ビル・クリントン
- アメリカ大統領候補 ヒラリー・クリントン
- 経営学者 ピーター・ドラッカー
もうお分かりかと思いますが、このリストの人たちは皆、子供時代にモンテッソーリ教育を受けて育ちました。
これだけの業績を残している人たちが、揃いも揃ってモンテッソーリ教育を受けていたというのは、本当に驚きです。
すばらしい頭脳と心を持った彼らがたまたま同じ教育を受けていたんじゃないの?で片付けることもできますが、モンテッソーリ教育が彼らに成功するための鍵を与えたと考えるのが、やはり自然ではないでしょうか。
自ら考えて行動できるから道が開ける
では、子供時代の彼らはどんな「鍵」を手に入れたのでしょうか。
それは、グーグル創業者2人のテレビ番組での発言を見ればわかります。
「幼児期に受けた教育より自立心を覚え、また自ら進んで物事に取り組む基礎ができたのです」
「自分で考えて行動することを学び、それにより興味のあることをとことん追求する自由を得ました」
(引用元:「トップ1%の人だけが実践している集中力メソッド」永田豊志著)
まさにこの記事でここまでにお伝えしたことを、モンテッソーリ教育を受けた本人たちが、ずばり言っていますね。
グーグル創業者はずば抜けすぎていて参考にならない、ということはありません。
さきほどの発言はモンテッソーリ教育出身の人に多く見られる内容です。
ネットもスマホもなかった時代に比べて、世の中はずっと複雑で流れが早くなりました。
今の子供たちが大人になる頃には、さらに加速しているはずです。
そんな厳しい社会の中でも賢く幸せに生き抜く術を、モンテッソーリ教育は子供たちに授けてくれるのではないでしょうか。
日本でモンテッソーリ教育を受ける方法
幼稚園に通うのが王道
世界では100年以上の歴史を持つモンテッソーリ教育ですが、日本でモンテッソーリ園が誕生したのは1960年代、50年ほど前のことです。
日本でモンテッソーリ教育を受けるポビュラーな方法は幼稚園に通うことです。
正確にはわかりませんが、日本全国に数百ほど、モンテッソーリ園があるようです。
1960年代に日本でモンテッソーリ教育が見直され始めた頃(実は、明治時代にも一度紹介されたが定着しなかった)、普及活動に中心となったのがカトリック系団体だったため、現在でもカトリック系幼稚園を中心にモンテッソーリ教育を取り入れているところが多いようです。
もちろん、キリスト教と関係のない園もたくさんあります。
どの幼稚園のホームページにも、たいていモンテッソーリ教育を取り入れていることが書かかれているので、近くに通える園がないか検索してみるとよいでしょう。
まだまだ数が少ない保育園
一方で、モンテッソーリ式の保育園はまだまだ少ないようです。
特に都内では、ただでさえ入園が難しい状況に加えて、モンテッソーリ教育が少人数制であること、教育熱心なママパパが殺到していることから、かなり狭き門になっているようです。
実際、私が応募したときは「200人待ちです」と言われてびっくり、あきらめるほかありませんでした。
日本にはモンテッソーリの小学校はない
残念ながら日本にはモンテッソーリの小中高はありません。
教育が自由化されていないため、小学校からは文科省の定めたルールにしたがって一斉教育を受けるしか道がありません。
欧米では、私立に限らず公立のモンテッソーリ小学校がありますし、高校または大学までずっとモンテッソーリの学校に通うこともできます。
羨ましいですね。
小学校に入ってからもモンテッソーリ教育を受けたい場合は、幼稚園に併設されている小学部や私塾などを探してみるのが良いでしょう。
週1回くらいのペースで放課後に通うケースがほとんどだと思います。
園に通わなくても家庭で今すぐ実践できる
ここまでずっと園での教育を中心に話をしてきましたが、もちろん家庭でもモンテッソーリ教育を取り入れることができます。
むしろ、家庭でこそ実践するのが良いと思います。
良書があるので、まずは1冊読んでみてはいかがでしょうか?
モンテッソーリの幼児教育 ママ,ひとりでするのを手伝ってね!
モンテッソーリ教育は子を育てる、親を育てる お母さんの「敏感期」
子供の潜在能力を101%引き出すモンテッソーリ教育
また独特の教具や道具を買うこともできますが、ぜんぶ買い揃えるのは無理ですし、その必要もありません。
気に入ったものだけを買うか、または自作する方法もあります。
そもそも、家庭での実践で大切なのは、教具の有る無しではなく親の心構えです。
子供に対してどう接するか、それを親が理解して実践するだけでも、大きな効果があるはずです。
家庭で実践する方法については、改めて記事を書こうと思うので楽しみにしていてください。
モンテッソーリ教具についてもっと知りたい!という方はこちらの記事を読んでいただければと思います
モンテッソーリ教育は何歳から始めるのが良い?
モンテッソーリ教育は、0歳から始められます。
また、何歳からでも取り入れることができますが、早く始めるに越したことはありません。
生まれてすぐの赤ちゃんにも、教育環境を整えてあげましょう。
例えば、ベビーベッドの上にモビールを吊るす。
これだけで、目の運動を促し、好奇心を育てることができます。
モンテッソーリ・ムナリモビール
モンテッソーリ教育では、0歳から6歳までを幼年期、12歳までを児童期、18歳までを思春期、24歳までを青年期として4つに分けて考えます。
なかでも6歳までの期間は重要です。
子供には、ある能力を獲得するのに最高に適したタイミングがあります。
例えば、3歳ぐらいまでに子供はどんどん言葉を覚え、あっという間に日本語をマスターしてしまいます。
でも、大人になってから英語を学んでも同じようにはいきません。
この特別な時期のことをモンテッソーリ教育では「敏感期」と呼びます。
3歳までは言語の敏感期、とりわけ話し言葉の敏感期です(4歳から6歳までが書き言葉の敏感期)。
この敏感期のほとんどは6歳までに終わってしまいます。
しかも敏感期は一度しかやって来ないので、そのタイミングを逃さないように、親は子供をサポートしてあげる必要があります。
できるだけ早く始めたほうが実りが多いのです。
まとめ
モンテッソーリ教育は、小手先のテクニックを子供に教え込む教育ではありません。
親にとって優れた教育指針であると同時に、子供本人にとっても、これからの人生を生きる上で拠り所となる教育です。
ぜひ、皆さんもモンテッソーリ教育を子育てに取り入れてみてください。